2016.5.21 「サントゥールとピアノのための小品」初演(音源あり)
5月21日は淡路のトントレフ・ヒコにて開催された「第51回 現代音楽の夕べ」にサントゥールで参加してきました。
サントゥールで現代音楽を演奏したいとは前から思っていたのですが、今回、作曲の川合清裕君に『サントゥールとピアノのための小品』を作ってもらい、トントレフ・ヒコで初演することができました。
おそらくサントゥールの現代音楽が演奏されたのは日本初、、いや世界初ではないでしょうか、、
普段しない奏法を用いたり、普段使わない弦をたたいたり、、サントゥールってこんなこともできるんだ!と発見しながら演奏することができました。普段サントゥールは音を上にすくい上げるイメージで演奏するのですが、今回はあえて音を止める奏法が頻出し、メズラブ(撥)を弦に押さえつけるようにするので、メズラブが折れるんじゃないかと心配しました、、(実際練習で一度折れました(汗))
譜面は難しいですが(難易度的には絶対ピアノのほうが難しい)、リズムがとても面白いので合わせる楽しさがあります。
現代音楽というと「難解~」というイメージですが、この曲はそんなにぐっと構えて聞く曲ではなく、純粋に聞く楽しみがあると思います。
この作品がもっともっと広まって、イランにいるサントゥール奏者の人にも演奏してもらえる日が来たらいいなあと思いを巡らせています。
~以下作曲者のコメントです~
サントゥールはペルシャの伝統楽器であり、エキゾチックでエモーショナルな音色が特徴的です。その唯一無二の音色だけでも十二分に魅力ある楽器なのですが、この楽器に更なる可能性を見いだしたいと思うのも作曲する者の性であります。
サントゥールは“打弦楽器”であり、打楽器と弦楽器、両方の特性を併せ持っている点をいかしたアプローチが可能です。今作品では打楽器的な表現であるデッドストロークと、弦楽器的な表現であるハーモニクスを使用しました。ハーモニクスは音色的変化もさることながら、実質27音しか設定することのできないこの楽器にとっては、ピッチの可能性も押し拡げてくれることとなりました。また、自らで調弦をできる、という特性も現代の音楽に向いていると感じました。今回はいくつかの微分音と、特殊なチューニングによる2種類の効果音的音響を設定しました。尤も、微分音はペルシャの音楽では日常的に用いられるものであり、特殊でもなんでもありませんが。
本曲は非常にわかりやすくポップで、芸術的な深みは全くありませんが、誰が聴いても楽しめるもの、21世紀のサントゥールの新たなレパートリーとなるようなものを目指して作りました。